雨柳がエドガーを愛でるとこ
~創夜もちゃんと愛でてるよ~
~アニメZEXAL33話+Ⅱ/エドガー~
アニメZEXAL33話「地獄のタッグデュエル! 悪魔のヒーローⅣ」に
Ⅱ/エドガーがいたら……という内容です。
ついにⅡのデュエルデビュー話!
制作時もものすごく気合を入れて書いた話ですので、
楽しんでいただけると幸いです!
・2023/9/17追加
★33話「地獄のタッグデュエル! 悪魔のヒーローⅣ」★
改め……
★「悪夢のタッグデュエル! 地獄の夜明・Ⅳ&Ⅱ」★
※既存カード詳細は白文字、オリジナルカード詳細は青文字、ライフ表示は黒文字、数値変化は緑文字で表記
※実際のアニメと効果の違うカードは、カード詳細が赤文字で当ページ下部にて説明あり。
※詳細ページのあるオリジナルカードは、テキスト内のカード名にリンクあり。
※挿絵的な参考イラストがある箇所は、該当文章にリンクあり。
ハートランドシティの何処かに建つ建物、ハートランドを一望できる大きな窓のついた高いフロアに彼ら――トロン一家の4兄弟はいた。
ふいに、次男Ⅳの手から宙へと放り出される大量の書類。そしてⅣは自ら投げ出したその書類を、持っていた大量のカードでダーツのように壁に繋ぎ止める。
Ⅳ「これが今日の対戦相手か……」
そう言うⅣに、傍にいた三男Ⅱが呆れたように、
Ⅱ「Ⅳ、人がせっかく集めた対戦相手の情報で遊ばないでよ……」
そう言って見ている。
言われたⅣは悪びれる様子もなく、
Ⅳ「遊んじゃいねえよ。こうした方が、お前が集めてくれた情報がよく見えると思ってな」
そんなⅣに、Ⅱはなお呆れた様子である。
Ⅳ「さて、今日の対戦相手にも念入りのファンサービスをしなくちゃなぁ……」
そう言って不気味に笑うⅣ。しかしそんなⅣに、Ⅱは先ほどの呆れとはまた違う、どこか憂鬱そうな顔を見せた。
Ⅴ「相変わらず悪趣味だな……」
ふいに聞こえた声に、ⅣもⅡも振り返る。
Ⅴ「敢えて自分のファンを選んで、地獄に突き落とすとは……」
2人が振り向いた先で、ソファに座って本を読む長男Ⅴが、目線を本から移さず淡々とそう言う。
Ⅱ「兄さん……」
Ⅳ「……対戦者探しには苦労するんだ。何しろファンが多いもんでねぇ」
Ⅱ「その多いファンの中から、ナンバーズを持っていそうなデュエリストをⅣの対戦相手として選出する俺も、苦労してると思うんだけどね……」
若干皮肉を込めたような物言いだったが、ⅣはそんなⅡの言葉を気にする様子も見せず、むしろ
Ⅳ「そうだな、優秀なマネージャーが付いているというのは本当にありがたいことだ。いつもありがとなⅡ」
と、素直に感謝の意を述べる。その言葉に、不機嫌そうな口調だったⅡも小さくも笑って
Ⅱ「どういたしまして。まあ……マネージャーとしては当たり前の仕事なんだけどさ」
と言った。
そんなⅡを見てⅣも小さく笑うが、それからその笑みに唐突に悪意が込められる。
Ⅳ「しかし……この俺のファンともあろう癖に、どいつもこいつもヘボデュエリスト……全く疲れるぜ。ナンバーズ集めも楽じゃない」
その言葉に、今まで目線を本に落としていたⅤが反応を見せ、Ⅳたちの方へと視線を送る。
Ⅱ「まったくだ、誰が持ってるかもわからないナンバーズを探して毎日毎日、バカみたいなデュエルの繰り返し……」
弟たちの不満に何かを感じたのか、Ⅴは本を静かに閉じて口を開く。
Ⅴ「だったらそのナンバーズ、もっと大切に扱ったらどうだ? Ⅳ、Ⅱ……」
Ⅳ「ああ? 文句があるってんならテメェも自分の手で集めたらどうだ? Ⅴ!」
Ⅱ「本当……それ、表立った活動を俺たちに丸投げしてる人の言葉とは思えないな」
弟たちの言葉に、Ⅴは不敵に笑う。
Ⅴ「……今はまだ私が動く時ではない」
Ⅱ「なんだよ、それ……」
Ⅳ「なるほどなぁ……俺たちはお前の手駒だとでも言いたいのか……なんならここで決着を――」
そこに、四男Ⅲが紅茶一式の乗ったトレイを持って現れる。
Ⅲ「兄様たち、おやめください。喧嘩なんてよくありません」
Ⅳ「お前は黙っていろ、Ⅲ……」
Ⅱ「そうだよ。Ⅲは関係ないだろ?」
ト「いや、Ⅲの言う通りだ」
その時、階段の方から子供の声がする。驚いて皆がその方を見ると、そこには仮面をつけた子供が兄弟たちの元へ向かって階段を降りてきていた。
Ⅳ「トロン……」
ト「Ⅳ、君は少し口が過ぎるようだね……Ⅱは相変わらずⅣの後ろに隠れるような発言ばかり……」
Ⅱ「そ、それは……」
口ごもり困るⅡ。
ト「まったく……ⅤやⅢのように高貴な心を忘れてはいけないよ?」
Ⅳ「俺たちは問題児ってわけかよ……」
Ⅴ「口を慎め、Ⅳ」
思わず立ち上がるⅤ。
Ⅳ「なんだ? ――!」
不機嫌そうに振り向くと、すでにすぐそばまで来ていたⅤにⅣは驚く。
Ⅴ「トロンに対しての非礼は、私が許さない……」
その威圧感に、Ⅳは何か言いたげにⅤをしばらく睨んでいたが、ふいに根負けした様に
Ⅳ「……わかったよ」
と、そうだけ言って顔を逸らす。
Ⅴ「Ⅱ、お前もだ。トロンの命令に文句を言う暇があれば、Ⅳと共にナンバーズ集めに励むことだ」
Ⅱ「……ごめん」
大人しくなるⅣとⅡを見て、Ⅴは先ほどⅣがカードを投げていた壁に向かって歩きだし、
Ⅴ「Ⅲ、今日の君の役目、わかっているね?」
と確認をする。
Ⅲ「はい、Ⅴ兄様……」
Ⅴは、Ⅳの対戦相手の情報を壁に繋ぎ止めているカードの1枚を手に取る。
Ⅴ「神代凌牙は、血眼になってⅣとⅡを探している」
そう言ってⅤは今手に取ったカードをⅢに投げ渡すと、Ⅲはトレイを持つ片手を離し、Ⅴの投げたカードを受け取った。
Ⅴ「そのナンバーズを渡しておく。奴は、必ずⅣとⅡのもとに現れるだろう。Ⅲ、その機会を逃してはいけないよ」
Ⅲ「はい、Ⅴ兄様……」
そう言って、Ⅲは部屋を出ようと歩き出す。
ⅢとⅤを見て、Ⅱは寂しげな、Ⅳは苛立たしげな表情だった。
Ⅱ「……俺たちも行こう、Ⅳ?」
Ⅳ「ああ……」
ⅡとⅣも部屋を出ようと歩き始める。
ト「ああ、そうだⅡ」
Ⅱ「……なに、トロン?」
そう言ってから歩を止め、振り返るⅡ。つられてⅣもトロンを見る。
ト「左目の調子はどう?」
その言葉にⅡは小さく驚き、Ⅳは小さくも嫌悪を顔に表す。
Ⅱ「……大丈夫だよ」
どこか影のある笑顔でそう答えたⅡに、トロンも
ト「そう……それはよかった」
と素っ気なく答える。そしてそれ以上の会話をさせまいと、
Ⅳ「行くぞ、Ⅱ……」
Ⅱ「うん」
ⅣはⅡを連れてⅢ同様に部屋を出て行った。
トロンと2人部屋に残ったⅤは、窓の向こうに見えるハートランドを見る。
Ⅴ「Dr.フェイカー……奴からは、何もかもを奪う……! 奴が俺たちにそうしたように……!」
ト「Ⅴ……」
険しい顔のⅤにトロンが話しかけると、Ⅴは表情を和らげトロンの方を向く。
ト「くれぐれも僕のことには気付かれないでね。Dr.フェイカーは僕が死んだと思ってる。僕の存在を知らせるのは、僕の役目だからね……」
~【本編】~
慌ててどこかへ行こうとする鉄男と委員長に追いついた遊馬と小鳥。
遊「おい、何慌ててんだよ?」
鉄「遊馬!」
委「聞いてください!」
嬉しそうにそう言って、委員長は何かを映したDパッドを遊馬と小鳥に見せる。
委「とどのつまり、これです!」
遊・小「え?」
委員長が見せたDパッドには、極東エリアのデュエルチャンピオンとしてのⅣの情報が映っていた。
遊「誰これ?」
鉄「アジアのチャンピオンのⅣだよ!」
遊「え?」
鉄「で、こっちはⅣの同い年の弟で、ⅣのマネージャーやってるⅡ!」
そう言って、鉄男は自分のDパッドにⅡの情報を映して見せる。
遊「Ⅳと、Ⅱって……えっと……」
鉄「ほら! Ⅳと言えば、シャークと全国大会決勝で戦った――」
遊「シャーク……――!」
鉄男の言葉に、遊馬は以前凌牙から聞いた話を思い出す。
凌「全国大会で、俺が負けた相手が現れた。奴は……Ⅳは弟のⅡと共に俺を罠にはめるために、関係のない人間を……」
全国大会の決勝戦で違反勧告を受ける凌牙を不敵に見るⅣとⅡ、WDC開始前に接触を図ってきたⅣとⅡ、病室で眠っている凌牙の妹、そんな光景を思い出しながら聞かされた凌牙の言葉を、遊馬は思い出していた。
ア「シャークが言っていたのは、このⅣと言う男……そしてその弟と言うのはⅡというマネージャーのことか……」
委「僕たちこれから、ⅣとⅡとデュエルするんです! 彼らのご指名で!」
遊「え?! こいつらってヤバい奴らじゃ……」
驚く遊馬に、委員長も驚く。
委「どういう意味です?」
遊「あ……勝つために手段を選ばないって言うか……」
鉄「Ⅳほど紳士的なデュエリストはいないぜ? Ⅱだって気さくで優しい人だしな」
委「彼らとデュエルできるなら……とどのつまり! もう思い残すことはありません!!」
うっとりと興奮する委員長に、遊馬は戸惑っている。
鉄「あー! 急がなきゃ!!」
委「あー! そうでした!!」
鉄「行くぜー!」
委「おー!」
遊「あ! おい、待てって!!」
先に走り出した鉄男と委員長を、遊馬と小鳥も追いかけ始めた。
鉄男たちは、ハートランドの中でも人目に付かない、建築資材などが置かれているさびれた空き地へとやってきた。
遊「こんなとこでデュエルやるのかよ……」
委「こーゆう場所だから、彼らとゆっくりデュエルができるんじゃないですか」
鉄「ああ、その通りだぜ。なんたってⅣは人気者だし、Ⅱとのタッグもすげぇんだからな!」
遊「はあ……そうなの?」
その時、向こうから2人の男が遊馬たちのもとに歩いてくる――ⅣとⅡだった。
委・鉄「ああ!」
遊「あれが、Ⅳ……?」
小「じゃあ、後ろの人がⅡ……?」
遊馬たちが言うように、ⅡはⅣの少し後ろを歩いている。歩いてくる2人を、アストラルが意味ありげにじっと見る。
鉄・委「ⅣとⅡだぁ!!」
そう言うや否や、2人はⅣとⅡのもとへと駆け寄る。
委「ふぉ、ⅣさんとⅡさんですね!」
Ⅳ「お待たせしました。等々力くん、武田くん」
Ⅱ「2人とも、今日はデュエルの誘いを受けてくれてありがとう」
委「い、いえ! こちらこそ……!」
鉄「2人とデュエルできるなんて最高っすよ!」
そう言う2人に、ⅣもⅡも優しく笑ってみせる。
Ⅳ「では、さっそく始めましょうか」
委「そ、その前に……! これにサインしてください!」
そう言って、委員長は自分のDパッドとペンを取り出してⅣに差し出す。
鉄「お、俺も俺も!!」
そう言って、鉄男は委員長にぶつかる勢いで同じくDパッドを差し出す。
Ⅳ「喜んで。ファンサービスは僕のモットーですから」
Ⅳがそう言うと、委員長がⅡを見て、
委「あ、よかったらⅡさんもいいですか?!」
と言い、先ほど同様に鉄男もまた
鉄「あ、俺も2人のサイン欲しいぜ!」
と言う。
Ⅱ「え、僕もかい……? それは良いけど……サインなんてあんまり書いたことないからなぁ……」
戸惑い気味にそう言って、ⅡはⅣを見る。
Ⅱ「ねえⅣ、サインってどう書けばいいの……?」
そんなⅡに、Ⅳは委員長たちに見せたものとはまた違った笑みを見せ、
Ⅳ「そんなの、Ⅱの書きたいように書けばいいんだよ」
と言う。
Ⅱ「だから、その書き方がわかんないんだって……」
Ⅳ「仕方ないな……ほら、こんな風に自分の名前で書いてみるんだ」
そう言って、Ⅳは委員長のDパッドにサインを書くところをⅡに見せて、そのまま委員長のDパッドをⅡに渡す。
Ⅱ「こう……?」
Ⅳの真似をするようにサインを書くⅡ。
Ⅳ「うん、いいんじゃないか? 等々力くん、こんな感じでいいかな?」
Ⅱから委員長のDパッドを受け取って、委員長に渡すⅣ。
委「はい! お2人分のサインだなんて……とどのつまり、感激です! ありがとうございます!!」
鉄「それにしても、2人ってホント仲いいんすね」
そう言われ、ⅣもⅡも少し驚くも、すぐに2人で笑う。
Ⅳ「そりゃあ、デュエリストとマネージャーである以前に、僕たちは兄弟だからね」
Ⅱ「Ⅳは頼れる自慢の兄なんだ」
Ⅳ「Ⅱだって、優しい最高の弟だよ」
そう言いあう2人を、委員長と鉄男はまたほっこりとして見ている。そして、そんな様子を離れたところからⅣとⅡの人間性を探るように遊馬、小鳥、アストラルが見ている。
Ⅱ「はい、終わったよ」
ⅣとⅡが鉄男のDパッドにもサインを書き終え、Dパッドが鉄男に返される。
鉄「おー!」
委「はぁ……」
2人がサインに感激している中、Ⅳが
Ⅳ「では、デュエルを」
と促す。
鉄「おう!」
鉄男が元気よく答えた時、打って変わって委員長が不安そうな顔になる。
委「あ、でも今更ですが……僕たちなんかが極東チャンピオンとその弟とデュエルして……その……いいんでしょうか?」
鉄「おい、せっかくデュエルに誘ってもらえたのに、今更何言ってんだよ?」
委「いやぁ……お2人とデュエルできるのはすごく、すごぉーく嬉しいんですけど……それとこれとはまた別の話ですよ。極東チャンピオンのⅣと、サポートデュエルのⅡ……お2人はタッグデュエルの最強コンビとして名高い兄弟ですからね……僕たちなんかじゃあ足元にも及ばなくって、つまらないデュエルになってしまうんじゃ……」
そう言う委員長に、Ⅱは苦笑いをする。
Ⅱ「そんな固くならないで……Ⅳはともかく、僕のデュエルの腕なんてたかが知れてるんだから」
鉄「でも、サポートは得意なんだろ?」
そう言う鉄男に、Ⅳは優しく、
Ⅳ「確かにタッグデュエルでのⅡのサポートは上手いし、僕には極東チャンピオンの肩書もある。でも、君たちが持つ可能性は、そんな見かけだけの肩書に潰されるほど小さなものなのかな?」
と言う。
委「可能性……?」
Ⅳ「ええ、僕は君たちに知ってほしいんです。デュエルの無限の可能性を! 君たちにだって、僕たちを倒せるかもしれない。それがデュエルなんだって!」
Ⅱ「そうだよ、だからデュエルは面白いんだ! 見せてみてよ、君たちの全力を! 君たちのデュエルが持つ無限の可能性を!」
そう語る2人を見て、遊馬と小鳥は次第に笑顔になる。
遊「なんか……あの兄弟いい奴らじゃんか!」
そう言う遊馬に、小鳥も賛同するように笑顔を向ける。
委「可能性……そうですよね! とどのつまり、僕たちがお2人に勝てる可能性だってあるんですよね!」
Ⅳ「ルールはタッグデュエルルール。ライフポイントは全員4000ずつ、パートナーであろうとフィールドや墓地、手札などの共有は不可」
Ⅱ「ターンはチームから1人ずつ交互に回して、先に相手2人とものライフを0にしたチームが勝ち……異存はないかな?」
鉄「よっしゃあ! いくぜ!」
委「おー!」
2人はDパッドを放り上げ、展開したデュエルディスクを腕に装着する。
委・鉄「デュエルディスク、セット!」
ⅣとⅡもまた、折りたたまれたデュエルディスクを放り投げる。Ⅳのディスクは展開して赤い西洋の剣を模した形となり、Ⅱのディスクは青い龍の翼を模した形となって、2人の左腕に装着されたガントレットに装着される。
委・鉄「Dゲイザー、セット!」
委員長と鉄男は左目にDゲイザーをセットする。
対して、Ⅳは右手の甲に紫色の紋章を光らせ、その右手を左目付近に持っていってDゲイザーの代わりに左目の虹彩を赤から青に染め、その周りに紫色の模様を浮かばせる。
同じように、Ⅱもまた右腕に黄色い紋章を光らせ、その腕を顔の横まで持ってきて、右目の虹彩をオレンジから緑に染めてその周りに黄色い模様を浮かばせる。
「ARヴィジョン、リンク完了」
システムの機械的な声がリンクの完了を伝える。
Ⅳ・Ⅱ・委・鉄「デュエル!!」
【プロローグ・OP】
デュエルの準備が整った4人を見て、小鳥が不思議そうに、
小「Ⅱって人、左じゃなくて右の目の色が変わったわ」
と言う。すると遊馬も、
遊「ってことは、左目じゃなくて右目でARヴィジョンとリンクしてるってことか? でもなんで……」
と不思議がる。その声は4人にも聞こえていたようで、
Ⅱ「ああ、大した理由はないよ。小さい頃に事故で左目を失明してね、だからデュエルは右目でARヴィジョンをリンクさせてるんだ」
と、Ⅱが気を害す様子もなく答えてくれる。
遊「あ……そうなんだ……その、なんかごめん……」
何気ない疑問が、少し込み入った事情であることに遊馬は悪いことを聞いてしまった気になるも、
Ⅱ「別に気にすることないよ。片目が見えないなんて言われないとわからないだろうし、それに右目でデュエルしてたら気になって当然なんだから」
Ⅱは変わらず、気にしていない様子で答える。
遊「そ、そっか? なら良かったけど……」
そう言う遊馬に、Ⅱや、今の話を聞いていたⅣは快く笑ってくれる。
遊「(やっぱりこの2人、シャークが言うようなひでぇやつらには思えないけどなぁ……)」
と、遊馬は内心思った。
Ⅱ「それじゃあ、始めようか」
Ⅳ「良かったら、先攻は君たちのどちらかからどうぞ?」
ⅣとⅡは相談することもなく、しかしお互いに示し合わせていたかのように委員長と鉄男に先攻を譲る。
委・鉄「え?」
鉄「タッグデュエルでは、チームのどちらかが先に攻撃できる先攻が有利なのに……」
委「敢えて先攻を譲るなんて……」
鉄「俺が最初に行くぜ! 俺のターン、ドロー! 俺は「アイアイアン」を召喚!」
【アイアイアン ★4 地属性 機械族 A:1600 D:1800】
鉄男の宣言と共に、フィールドにアイアイアンが現れる。
鉄「バトルロイヤルやタッグデュエルルールでは、プレイヤーは全員、最初のターンに攻撃できない! 俺はこれで、ターンエンド!」
鉄男のターンエンドに、ⅣとⅡは目配せをして軽くうなずき合うだけで、何も言葉を発することなく、
Ⅱ「それじゃあ、次は僕のターンだね。ドロー!」
と、Ⅱがターンを開始する。
Ⅱ「僕はこの子……「夜明機龍(ドーン・ドラゴニクス)-東雲(しののめ)の魚龍(ぎょりゅう)」を召喚するよ」
Ⅱの宣言と共に、フィールドに「夜明機龍-東雲の魚龍」が現れる。
【夜明機龍-東雲の魚龍 ★4 水属性 ドラゴン族(機械族)A:1100 D:1400】
鉄「ドーン……ドラゴ、ニクス……?」
委「変わったモンスターですね?」
東雲の魚龍にそう言う2人に、Ⅱは嬉しそうに笑って、
Ⅱ「夜明に佇む機械龍……機械で他の生き物の姿をしたドラゴンたちなんだけど、可愛いだろう? 僕のお気に入りのモンスターたちなんだ!」
と、自身のモンスターの説明をする。
Ⅱ「……あ、ごめんね! デュエルの最中に無駄話なんかしちゃって……それじゃあデュエルを続けよう! 僕は東雲の魚龍の効果を発動するよ。この子は召喚に成功した時、フィールドの夜明機龍の数まで、デッキから夜明機龍モンスターを手札に加えることができる。僕はデッキから「夜明機龍-暁(あかつき)の蛇龍(じゃりゅう)」を手札に加えて、ターンエンド」
ア「夜明機龍……機械龍というからには、おそらくは機械族とドラゴン族の特徴を持つモンスターたちのようだが……あれが彼のデッキコンセプトのようだな」
Ⅱのプレイングを見て、アストラルがつぶやく。
遊「そんじゃあ、Ⅳってやつも何かテーマのあるデッキを使ってくんのかな……」
ア「おそらくは……」
そんな2人の会話もいざ知らず、
委「僕のターン! ドロー!」
委員長がターンを開始する。
委「僕は! 「デバッカーX」を召喚! 僕はこれで、ターンエンド」
【デバッカーX ★3 光属性 機械族 A:900 D:900】
ターンを終えた委員長、そして鉄男のフィールドを見て、
Ⅳ「へぇ~、2人ともユニークなモンスターを出しますねぇ」
と、Ⅳが感心する。
Ⅱ「デッキはデュエリストの個性を表す……面白いデュエルになりそうだね、Ⅳ」
Ⅳ「ああ……これからの展開が楽しみだ……!」
2人の会話に、
委「鉄男くん! ⅣとⅡに褒められました!」
鉄「ああ、けど油断するな!」
と、委員長と鉄男は喜んでいる。
Ⅳ「僕のターン! ドロー! 僕はモンスターを裏守備表示でセット! そしてさらに、カードを2枚伏せて、手札からフィールド魔法「エクシーズ・コロッセオ」を発動!」
Ⅳの魔法発動により、周囲の景色がさびれたコロッセオへと変わっていく。
Ⅳ「このカードは、フィールドにいるすべてのモンスター・エクシーズの攻撃力を200ポイントアップさせ、モンスター・エクシーズ以外の攻撃を禁止する……」
Ⅳの説明の最中にも景色が変わっていくバーチャル空間に、委員長や鉄男はもちろん、遊馬やアストラル、小鳥も驚いている。
Ⅳ「これで僕のターンは終了です」
完全に切り替わったフィールドのヴィジョンに、小鳥はあることに気付く。
小「あ……お墓……?」
フィールド魔法の景色の中に、いくつもの墓石があった。
ア「(モンスター・エクシーズ縛り……なぜこんなフィールド魔法を……これでは、相手のモンスター・エクシーズの攻撃力も上がってしまうだけでなく、パートナーの動きすら制限しかねない……)」
鉄「モンスター・エクシーズを召喚するには、同じレベルのモンスターが2体以上必要……」
委「それが揃うまで、エクシーズ・コロッセオで、我々の攻撃を防ぐつもりですね?」
鉄「けど……そうはいかないぜ! 俺のターン! ドロー! 俺は、「ブリキンギョ」を召喚! このカードの召喚に成功した時、手札にもう1体ブリキンギョがあれば、それを特殊召喚できる! 俺は、ブリキンギョを特殊召喚!」
【ブリキンギョ ★4 水属性 機械族 A:800 D:2000】
ア「これで、彼の場にレベル4のモンスターが3体……!」
遊「やる気かぁ!?」
鉄「俺は、レベル4のブリキンギョ2体とアイアイアンでオーバーレイ! 3体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築! エクシーズ召喚! 現れろ「ブリキの大公」!!」
鉄男のエクシーズ召喚により、ブリキの大公がフィールドに降り立った。
【ブリキの大公 ☆4 地属性 機械族 A:2200 D:1200】
Ⅳ「すごいよ! モンスター・エクシーズをもう召喚するなんて!」
Ⅱ「それが君のエースモンスターなのかい?」
感心するⅣとⅡ。
鉄「ああ、そうさ! こいつが俺のデッキのエースだ! そしてエクシーズ・コロッセオの効果発動! この効果で、モンスター・エクシーズであるブリキの大公の攻撃力は、200ポイントアップする!」
ブリキの大公は、攻撃力が2400となる。
【ブリキの大公 A:2200→2400】
鉄「いくぜぇ! ブリキの大公の効果発動! オーバーレイ・ユニットを1つ使い、相手のモンスターの表示形式を変更する!」
Ⅱ「俺のモンスターは攻撃表示、それを守備表示にする意味はない……ということは……」
鉄「そう! 俺は、Ⅳのフィールドの裏守備モンスターの表示形式を変更するぜ!」
Ⅳ「まさか……こうもあっさり僕の裏守備モンスターが……! 君はなんてデュエリストなんだ!」
鉄「そ、そっすか!」
Ⅱ「エースモンスターの召喚スピード、そしてその効果の的確な発動……これはちょっと、先攻を譲ったのはまずかったかも……」
委「鉄男くん! また2人に褒められるなんて、とどのつまり、羨ましすぎです!」
その間にも、オーバーレイ・ユニットを1つ大剣に吸収したブリキの大公がその大剣を振る。
鉄「俺はⅣの裏守備モンスターを、攻撃表示に!」
Ⅳのフィールドに、モンスターが姿を現す。
Ⅳ「僕がセットしておいたのは、「ギミック・パペット-ベビーフェイス」……」
【ギミック・パペット-ベビーフェイス ★1 光属性 機械族 A:0 D:0】
ア「攻撃力0のモンスター……」
Ⅱ「まずいよ、Ⅳ……ベビーフェイスはレベル5以上のモンスターとの戦闘では破壊されないし、戦闘ダメージも発生しない効果モンスターだけど……」
Ⅳ「相手はレベルを持たないモンスター・エクシーズ……狙われれば、ベビーフェイスは効果を発動できない……」
委「これはチャンスですよ!」
鉄「わかってる! ブリキの大公で、ギミック・パペット-ベビーフェイスに攻撃! 「大公の一撃」!」
ブリキの大公の攻撃によってベビーフェイスは破壊され、Ⅳはその爆風を受けながら2400のダメージを受ける。
【Ⅳ4000-2400→1600】
Ⅳ「うわ……!」
Ⅱ「Ⅳ!」
Ⅳ「くっ……! トラップカード「リペア・パペット」発動!! このカードは、レベル4以下のパペットモンスターがバトルで破壊された時、同じモンスターをデッキから特殊召喚できる! 現れろ! ギミック・パペット-ベビーフェイス!!」
トラップカードの発動により、Ⅳのフィールドにギミック・パペット-ベビーフェイスが守備表示で召喚される。
Ⅱ「良かった……これで次の攻撃はしのげるね……」
鉄「けど、そんなモンスター……俺には通用しねぇ!」
Ⅱ「なんだって……?」
鉄「ブリキの大公の効果発動! オーバーレイ・ユニットを1つ使い、相手のモンスターの表示形式を変更する!」
再び攻撃表示にされるⅣのモンスター。
Ⅳ「エクセレント……ブリキの大公は1ターンに何度も効果を使えるのですか」
Ⅱ「感心してる場合じゃないよ……僕も頑張るけど……もし次のターンで起死回生のカードが引けなかったら……」
Ⅳ「狙われるだろうね、攻撃力0のベビーフェイスが……」
ここまでのデュエルを、小鳥も遊馬も嬉しそうに見ている。
小「ねえ! これってすごいんじゃない?!」
遊「ああ! 先攻は譲ってもらってるけど、アジアチャンピオンとその最強タッグの弟に勝っちまうかも!」
Ⅱ「俺のターン……ドロー!」
少し焦り気味にターンを開始したⅡだったが、引いたカードを見て顔色を曇らせる。
Ⅱ「どうしよう……こんなカードじゃⅣのサポートなんてできないよ……」
Ⅳ「Ⅱ……気にしないで、君はできることをやってくれればいい。最悪、僕が倒されてもタッグデュエルルールではまだ僕たちの負けではないからね……」
Ⅱ「そうだね、うん! 頑張るよ……! いくよ! 僕はこの子、「夜明機龍-暁(あかつき)の鰐龍(がくりゅう)」を召喚! この子にも魚龍同様に、召喚成功時にフィールドの夜明機龍の数に応じて発動できる効果がある!」
【夜明機龍-暁の鰐龍 ★4 炎属性 ドラゴン族(機械族) A:1500 D:1000】
遊「また、同じような効果?」
ア「なるほど……効果を発動させるために、攻撃力の高いブリキの大公がいるこの状況でも攻撃表示で召喚か……」
Ⅱ「暁の鰐龍は、フィールドの夜明機龍の数まで、デッキから夜明機龍モンスターを墓地に捨てることができる。捨てるのはこの2枚、「夜明機龍-黎明(れいめい)の狼龍(ろうりゅう)」と「曙(あけぼの)の飛馬龍(ひばりゅう)」だ」
Ⅱのプレイに、アストラルは不思議そうに
ア「(デッキから墓地にモンスターを捨てるためだけに攻撃表示……? Ⅳへの攻撃を自身に向けようというのか? しかし、それでもベビーフェイスの攻撃力が0である以上、いくらⅡがモンスターを攻撃表示で召喚しようと彼らはきっとⅣを狙う……)」
と、考察をしている。
そして、効果を発動し終えてから再び顔色を曇らせるⅡ。
Ⅱ「エクシーズ・コロッセオの効果で、僕のフィールドのモンスターは攻撃できない……カードを1枚セットして、ターンエンド……」
そう言って、Ⅱは申し訳なさそうにⅣを見る。
Ⅱ「ごめん、Ⅳ……武田くんの展開の早さに、サポートが追い付かないよ……もし次のターンで等々力くんもモンスター・エクシーズを召喚してきたら……」
Ⅳ「Ⅱ、デュエルというのは、最後の最後まで行方がわからないものだろう? 諦めるのはまだ早いさ」
Ⅱ「う、うん……!」
負け色を見せ始めたⅣとⅡに、委員長が強気に
委「僕のターン! ドロー!」
と、ターンを開始する。そして引いたカードを見て、
委「これはもしかしたら……もしかしますよ! Ⅳ、Ⅱともあろうコンビが、油断しましたね! Ⅳのフィールドにいるモンスターは攻撃力0! Ⅱのフィールドの攻撃表示モンスターはおそらくおとりのつもりでしょうが……騙されませんよ! ここでⅣに1600以上の攻撃が決まれば、あとはⅡ1人……そしてⅡは1人でのデュエルには自信がない模様!」
鉄「そしたら、俺たちの勝ちは確定ってことか!」
委「とどのつまり、そういうことです! 僕は、「デバッカーZ」を召喚! デバッカーZの召喚に成功した時、フィールドにデバッカーXがいれば、とどのつまり、「デバッカーY」をデッキから特殊召喚できます!」
委員長のフィールドに、新たに2体のデバッカーモンスターが現れる。
【デバッカーZ ★3 光属性 機械族 A:700 D:1200】
【デバッカーY ★3 光属性 機械族 A:400 D:1500】
Ⅳ「おお! レベル3のモンスターが3体!」
Ⅱ「ま、まさか……」
委「レベル3のデバッカーX、Y、Zの3体でオーバーレイ! 3体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築! エクシーズ召喚! 現れろ! 「ワクチン・ゲール」!」
委員長のフィールドに、モンスター・エクシーズ、ワクチン・ゲールが現れる。
【ワクチン・ゲール ☆3 光属性 機械族 A:1800 D:1200】
委「さらに、エクシーズ・コロッセオの効果で、攻撃力は200ポイントアップ!」
攻撃力1800だったワクチン・ゲールは、攻撃力が2000になる。
【ワクチンゲール A:1800→2000】
遊「うまいぜ、委員長!」
委「いけぇ! ワクチン・ゲール!」
委員長の指示に、ワクチン・ゲールがⅣのフィールドに向かう。
Ⅳ「ああ、このままじゃ……!」
Ⅱ「Ⅳのライフが……!」
2人が危惧する間に、ワクチン・ゲールの攻撃でⅣのベビーフェイスが破壊される。
Ⅳ「うわぁあああ!!」
Ⅱ「Ⅳ!!」
その勢いでワクチン・ゲールが起こす爆風に巻き込まれるⅣ。
委・鉄「やったぁ!!」
遊「よし!」
【中間】
鉄「やったぜ、委員長!」
委「はい! Ⅳのライフを0にしました! あとは1人でのデュエルが苦手だと言うⅡのライフを削りきれば……――」
その時、わざとらしく手を叩くような音が響く。
委・鉄「?」
驚いた2人が巻き上がり晴れていく砂煙を見ると、そこでは平然と立っているⅣと、わざとらしく手を叩いているⅡがいた。
Ⅱ「いやぁ……見事、見事……」
Ⅳ「本当に、素晴らしい攻撃だ……でも、僕はダメージを受けていません」
遊「そんな……モンスターを破壊したのに……」
委「ど、どうして……」
Ⅳ「残念ですが今の攻撃で、僕は永続トラップ「ギミック・ボックス」を発動していた……」
そう語るⅣの右手の甲には、デュエルを開始する際に浮かんでいた紫色の紋章が光っている。
Ⅳ「このカードは、バトルでダメージが発生した時、そのダメージを無効化して、トラップカードからモンスターカードへと変換し、特殊召喚される。そして無効にしたダメージの数値が、こいつの攻撃力となる……」
Ⅳのフィールドに、攻撃力2000、レベル8のギミック・ボックスが召喚される。
【ギミック・ボックス ★8 闇属性 機械族/永続罠 A:?→2000 D:0】
Ⅱ「極東エリアのデュエルチャンピオンが、こんな簡単に倒されるわけないじゃないか。本当に残念だったね……」
委「せっかく僕もエースモンスターを召喚したのに……とどのつまり、このターンの攻撃は無駄だったってことですか……」
委員長のその一言に、Ⅱが小さくも不気味に笑った。
Ⅱ「ねえⅣ……奴らのエースはあの2体、つまり奴らはナンバーズを持っていない。だったら、そろそろこんなバカみたいな茶番は終わりにしようよ……」
遊「ナンバーズ?!」
ア「まさか……彼らもナンバーズを集めているのか?!」
Ⅱの言葉に、遊馬とアストラルが驚く。
そしてアストラルは気付く。
ア「(それでは、エクシーズ・コロッセオは……相手のナンバーズをおびき出すために……!)」
Ⅳ「わかっている……そろそろ受けてもらおうか、俺の本当のファンサービスを……Ⅱ、お前もその準備がもうできているんだろう?」
Ⅱ「当たり前だろう? いつだってⅣのファンサービスをサポートする……それが俺の役割なんだから……」
委「え、えっと……?」
鉄「2人とも、何言ってんだよ……」
戸惑う2人を気にもせず、Ⅳは依然、右手の紋章を力強く光らせる。
Ⅳ「希望を与えられ、それを奪われる……その瞬間こそ人間は1番美しい顔をする……それを与えてやるのが、俺のファンサービスさ……」
Ⅱ「君たちはツイているよ……俺のサポートを受けた最高のⅣのファンサービスを、その身を持って受けられるんだからなぁ!」
Ⅳ「俺のターン! ドロー!!」
Ⅳの右手の紋章が怪しく光る。
Ⅳ「お前たちのデュエルは素晴らしかった! コンビネーションも! 戦略も! だが! しかし! まるで全然!! 俺たちを倒すには程遠いんだよねぇ!! 俺は「ギミック・パペット-スケアクロウ」を召喚!」
Ⅳのフィールドに、案山子(かかし)型のモンスター、スケアクロウが現れる。
【ギミック・パペット-スケアクロウ ★4 闇属性 機械族 A:800 D:2000】
Ⅳ「さらにマジックカード「レベル・クロス」発動! このカードは手札1枚を墓地に送り、レベル4以下のモンスター1体のレベルを2倍にする……」
【スケアクロウ ★4→★8】
Ⅳ「とくと味わってくれよ……?」
そう言って右手を握るⅣの紋章が、いっそう強く光を放つ。
Ⅳ「俺のファンサービスを!! 俺はレベル8のギミック・ボックスとスケアクロウでオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築! エクシーズ召喚! 現れろ、No.15! 地獄からの使者、運命の糸を操る人形……「ギミック・パペットージャイアントキラー」!」
Ⅳのフィールドに、人形の塊のようなニュートラル体が現れたかと思うと、それはからくりによって展開していき、やがて巨大な操り人形型のモンスター、ジャイアントキラーへと姿を変えた。
【No.15 ギミック・パペット-ジャイアントキラー ☆8 闇属性 機械族 A:1500 D:2500】
委「ナ、ナンバーズ?!」
遊「奴はナンバーズ使いだったのか?!」
Ⅱ「驚いてる暇なんてないぜ?! トラップカード「コネクション・エクシーズ」発動!」
この時、Ⅱの右腕にも、Ⅳの右手の甲同様に黄色い紋章が袖の下から光り、現れる。
鉄「このタイミングで、トラップ?!」
Ⅱ「このカードは、フィールドにモンスター・エクシーズが召喚された時、エクシーズ素材のレベルを無視したうえで攻撃力を1000ポイントアップさせて、機械族のモンスター・エクシーズをエクシーズ召喚できるのさ! まあ、この効果で召喚したモンスター・エクシーズは、オーバーレイ・ユニットを持っている限りは攻撃ができず、オーバーレイ・ユニットを使い切れば攻撃力は元に戻ってしまうけどな……」
遊「相手のターンでエクシーズ召喚ができるのか?!」
ア「なるほど……鰐龍を攻撃表示で召喚したのは、攻撃を誘うためではなく、表側表示で召喚することでエクシーズ素材とするため……」
Ⅱ「俺は東雲の魚龍と暁の鰐龍でオーバーレイ! 2体の夜明機龍でオーバーレイ・ネットワークを構築! エクシーズ召喚!! 現れろ、No.22! 機械仕掛けの鼓動を刻む、静かなる魂の救世主……「夜明機龍-沈黙の生龍(サイレント・ライバー)」!」
Ⅱのフィールドに、コードに包まれた翼の生えたニュートラル体が出現し、そのコードがモンスター本体の体内に収まっていくことで、機械と龍の融合体のようなモンスター、沈黙の生龍が姿を現した。
【No.22 夜明機龍-沈黙の生龍 ☆8 闇属性 ドラゴン族(機械族) A:1000 D:3000】
遊「な……! またナンバーズ……?!」
ア「彼もナンバーズを……!」
Ⅳ「エクシーズ・コロッセオの効果で、俺のジャイアントキラーとⅡの沈黙の生龍の攻撃力は200ポイントアップ!」
エクシーズ・コロッセオの効果で、ジャイアントキラーは攻撃力1700に、コネクション・エクシーズの効果ですでに攻撃力が2000になっている沈黙の生龍は攻撃力が2200になる。
【ジャイアントキラー A:1500→1700】
【沈黙の生龍 A:1000→2200】
Ⅳ「そして! 俺はジャイアントキラーの効果発動! ジャイアントキラーは、オーバーレイ・ユニットを1つ使い、このターン、自分フィールド以外のモンスター・エクシーズをすべて破壊する!」
鉄「で、でも……それじゃあⅡのモンスターだって……」
Ⅱ「俺のモンスターの心配なら不要だよ」
委「ど、どういうことですか……」
Ⅱ「Ⅳの戦略に合わせた対抗策は、いくらでもあるってことさ! 俺は手札から夜明機龍-暁の蛇龍を墓地に捨てて効果発動! このターン、俺のフィールドの夜明機龍モンスターは、戦闘・効果によって破壊されなくなる!」
【夜明機龍-暁の蛇龍 ★1 炎属性 ドラゴン族(機械族) A:500 D:500】
遊「それじゃあ……」
ア「破壊されるのは、委員長と鉄男のモンスター・エクシーズのみ……」
Ⅳ「さあ、やれ! ジャイアントキラー! まずはブリキの大公だ!!」
Ⅳの宣言を合図に、ジャイアントキラーは額にオーバーレイ・ユニットを1つ吸収し、両手から糸を出現させてブリキの大公に絡ませ、そして糸の絡まったブリキの大公を、開いた胸の粉砕機に引き込む。
そのあまりにも猟奇的な効果破壊に、小鳥は思わず目をそむけ、遊馬も戦慄を覚える。
やがて、委員長と鉄男が見ている中、ブリキの大公は完全にジャイアントキラーの胸部に吸い込まれ粉砕された。
Ⅳ「そして……貴様たちは破壊されたモンスターの攻撃力分のダメージを受けることになる」
委・鉄「なに?!」
Ⅳ「ブリキの大公の攻撃力は2400!」
ジャイアントキラーの胸部の粉砕機から大砲が現れ、禍々しいエネルギーを今まさに発射しようとする。
Ⅳ「俺からのファンサービスだ……受け取れぇ!!」
鉄「うわぁああああ!」
発射されたジャイアントキラーの効果ダメージ「デストラクション・キャノン」を受け、鉄男は2400のダメージを受けて吹き飛ばされる。それはただのダメージではなく、ナンバーズによる精神も肉体も消耗させる一撃だった。
【鉄男4000-2400→1600】
遊「鉄男!」
小「鉄男くん!」
委「鉄男……くん……?」
鉄「うぅ……」
ダメージを受けるパートナーを見て、怯える様子の委員長。
Ⅱ「おいおい、お友達の心配をしている場合か?」
委「!」
Ⅳ「次はお前だぁ!!」
Ⅳの合図で、ジャイアントキラーは今度はワクチン・ゲールへと糸を絡ませ、ブリキの大公同様に粉砕機にワクチン・ゲールを引き寄せる。
Ⅳ「お前のモンスター・エクシーズを破壊する!」
そして、ワクチン・ゲールもまた、ジャイアントキラーによって粉砕された。
遊・小・委「あ……!」
Ⅳ「そしてその攻撃力分のダメージをお前に与える! 喰らえ!!」
デストラクション・キャノンが放たれる。
委「うわぁああああ!!」
委員長はライフを2000失い、吹き飛ばされる。
【委員長4000-2000→2000】
遊「委員長!!」
委・鉄「うぅ……」
倒れ、苦しむ委員長と鉄男。
Ⅳ「素晴らしい……美しいよ、その苦しみにゆがんだ顔……それでこそ、俺もサービスのしがいがあるってもんだぜ……」
Ⅱ「でもⅣ、まだサービスし足りないんじゃないか?」
Ⅳ「さすがⅡ、よくわかってるじゃねえか」
ⅣとⅡが不気味に笑いながらそんなことを言う中、委員長と鉄男はなんとか起き上がる。
Ⅳ「フッハハハハハ! 俺の本気のファンサービスはこれからだ!! Ⅱ!!」
Ⅱ「任せてよ! 沈黙の生龍の効果を発動だ!!」
ア「エクシーズ召喚だけでなく、モンスター効果までもパートナーのターンで行えるというのか……?!」
Ⅱ「沈黙の生龍のこの効果は相手のターンでも使うことができ、1ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを任意の数だけ使うことで、その数まで相手の墓地のモンスターを相手フィールドに特殊召喚することができる! ただし! この効果で特殊召喚されたモンスターは、攻撃も、効果の発動も、表示形式の変更もできず、沈黙のみを許された哀れな存在となり果てるがな! 俺はこのターン、沈黙の生龍の全てのオーバーレイ・ユニットを使い、お前たちの墓地のブリキの大公、そしてワクチン・ゲールを蘇らせる! 沈黙の生龍よ、哀れな2つの魂を墓地から救い出してやれ! 「サイレント・レリーフ」!」
Ⅱの宣言を合図に、沈黙の生龍は2つのオーバーレイ・ユニットを胸から露出したコードの塊に吸収し、後ろ脚のハッチを開き、そこから現れたアーム付きのコードを、自身の前方に作った墓地に繋がる穴へと入れる。すると、委員長と鉄男のフィールドにも墓地に繋がる穴が現れ、そこから何かを掴んだアーム付きのコードが出てきたかと思うと、そのアームが開いて1つずつの光が現れ、それらは次第にブリキの大公とワクチン・ゲールへと姿を変えていった。
遊「2人のモンスターを墓地から……?!」
Ⅳ「この瞬間、ブリキの大公とワクチン・ゲールは、エクシーズ・コロッセオの効果により、攻撃力が200ポイントアップする」
【ブリキの大公 A:2200→2400】
【ワクチン・ゲール A:1800→2000】
ア「そうか……! あのタイミングでの沈黙の生龍の召喚はこのために!」
遊「どういうことだ?! 敵のモンスターをわざわざ蘇らせて……!」
ア「これは……ループ攻撃だ……」
Ⅳ「お前らは破滅の糸に操られ、夜明の底に沈められた木偶人形……俺たちの支配からは逃れることはできん!! フハハハハ!! お前たちのモンスターを再び破壊!!」
再び、ジャイアントキラーに引き込まれるブリキの大公。
委・鉄「ああ……」
Ⅱ「無様だなぁ……! 自分たちのエースモンスターが2度も破壊されるのを、お前たちはただ指をくわえて見ているしかできない……」
Ⅳ「さあ、モンスターと同じ苦しみを喰らうがいい!!」
鉄「うわぁあああああ!!」
2400ダメージの効果を受け、吹き飛ぶ鉄男。
【鉄男1600-2000→-400】
ア「これは……敵のモンスターを墓地から引きずり出し、破壊することで、モンスターの攻撃力分のダメージを再び相手プレイヤーに与えるループ攻撃……!」
アストラルの説明の最中にも、ワクチン・ゲールがジャイアントキラーに引き込まれ、そして粉砕される。
委「うわぁあああ!!」
遊馬が戦慄して見ている中、委員長に2000ダメージの効果が及び、吹き飛ばされる。
【委員長2000-2000→0】
小「ひどい……」
遊「早く助けてやらねえと……!」
Ⅱ「まだだ……」
遊「え……?」
鉄男と委員長を介抱するために駆けだそうとした遊馬の耳に聞こえてきたⅡの言葉に、遊馬は驚き歩を止めてしまう。
Ⅱ「まだ、沈黙の生龍の効果も発動していなければ、Ⅳのバトルフェイズだって終わっていない!」
遊「な、何言ってんだよ?! 沈黙の生龍の効果って……もう沈黙の生龍にはオーバーレイ・ユニットはないだろ?! それに2人のライフが0なのにバトルフェイズって……」
Ⅱ「ライフが0になったからって、勝手にⅣのファンサービスを終わらせはしないさ。そして言い忘れていたが……沈黙の生龍によって蘇ったモンスターがフィールドを離れる時、その表示形式の元々の数値分のダメージがコントローラーに与えられるのさ……」
遊「なんだって!?」
Ⅱ「魂の救済を無下にした罰と言う訳だ……さあ、終わらぬ夜明の恐怖にその身を沈めるがいい! やれ、沈黙の生龍! 「ベトレイヤー・ラメンテーション」!!」
Ⅱの宣言を受け、召喚されてからコード以外は微動だにしなかった沈黙の生龍が、その首をあげて上空を仰ぎ、そして涙を流して口を開く。その瞬間、沈黙の生龍の体中のコードが高速で回転しだし、沈黙の生龍の鳴き声と共鳴してすさまじい超音波となって委員長と鉄男、そしてDゲイザーを付けてデュエルを見ていた遊馬や小鳥を襲う。
委・鉄「う……ああ……!」
【鉄男-400-2200→-2600】
【委員長0-1800→-1800】
小「や、やだこの音……!」
遊「頭が割れそうだ……!」
吹き飛ばされこそしないものの、委員長と鉄男を襲うベトレイヤー・ラメンテーションに2人は苦しむ。
Ⅱ「いいぞ、沈黙の生龍……もっと奴らを楽しませてやれ!」
Ⅳ「だが、まだだ! まだファンサービスは終わらないぜ! ジャイアントキラー!!」
遊「待て! もう勝負はついただろ!」
Ⅳ「……お前には彼らがファンサービスを喜んでいるのがわからないのか?」
Ⅱ「そんなこともわからないなんて……まったく、困ったお友達だ……」
そう言うⅣとⅡの目元に浮かぶ模様が、怪しく光る。
Ⅳ「いけぇ、ジャイアントキラー! 「ファイナル・ダンス」!!」
Ⅳの攻撃命令によって動き出したジャイアントキラーが腕を振り回すと、操り人形としてのジャイアントキラーの腕に繋がる太く頑丈な糸が鞭のように鉄男と委員長を襲う。
委・鉄「うわぁああああ!!」
【鉄男-2600-1700→-4300】
【委員長-1800-1700→-3500】
終わらないデュエルにやっと終わりが来たその時、エクシーズ・コロッセオに委員長と鉄男の顔が刻まれた墓石が現れた。
遊「委員長! 鉄男ぉ!」
2人のもとに駆け寄る遊馬と小鳥。その最中、小鳥は2人の墓石に気付き、足を止める。
小「あ……! このお墓って、もしかしてⅣとⅡが倒したデュエリストの……?!」
遊「おい……! 大丈夫か?! おい!!」
Ⅱ「これくらいのファンサービスで倒れ込むなんて、バカみたいに情けない奴らめ……まあ、お前たちのようなヘボデュエリストじゃあ、ナンバーズの攻撃に耐えられる精神力なんて持ってなくて当たり前か……」
そううそぶき、委員長と鉄男を笑うⅡとⅣ。
ア「(ナンバーズによる精神攻撃、そしてさらに肉体的なダメージまでを一般のデュエリストに負わせるとは……なんて真似を……!)」
アストラルさえも感情的になり、自身の姿が見えていないとわかっていてもⅣとⅡを睨む。
遊「鉄男……! しっかりしろ! 鉄男!」
遊馬が鉄男を心配する中、ⅣとⅡの勝利によってバーチャル空間が解除され、元のさびれた空き地が姿を現す。
鉄「俺より……委員長を……!」
そう言われた遊馬が委員長を見てみると、委員長は鉄男以上に深くダメージを追っているようで、目を開けることもできない状況だった。
委「うぅ……あぁ……」
その様子を見て、遊馬はDゲイザーを外しながら
遊「なんてことを……!」
静かにも湧きあがる怒りを覚える。そして、ⅣとⅡを睨む。
遊「こいつら本当にあんたたちに憧れてたんだぞ?! なのになんでだよ!!」
Ⅳ「フハハハ!! スターはファンに全てを捧げるもの……その全てをなぁ……!」
Ⅱ「お前も感謝しろよ? こんな間近でのⅣのファンサービスなんて、滅多に見られないんだからな!」
遊「なんだと……! Ⅳ! Ⅱ! テメェらは許さねぇ!! 2人まとめてぶっ倒してやる……俺と戦え!!」
Ⅳ「君も俺のファンになったのかな?」
Ⅱ「さすがⅣ……またファンが増えちゃったよ……」
その時、大きなモーター音がどこからか響いたかと思うと、空き地の向こう側から1台のバイクが塀を越えてⅣ、Ⅱと遊馬たちの間に降り立って停車する――それは凌牙の運転するバイクだった。
Ⅱ「お前は……」
先ほどのふざけた様子とは一転し、Ⅱはいぶかしげに凌牙を見てそう言う。
凌「……見つけたぜ!」
Ⅳ「……フッ!」
Ⅱと対照的に、Ⅳは凌牙を見て不敵に笑う。
遊「シャーク……!」
凌「忘れたのか! お前の1番のファンの顔を! ……Ⅳ!!」
バイクから降りた凌牙は、メット代わりのゴーグルを上げながらそう言い、敵意をむき出した。
―――――
【アニメ本編と本投稿でのカード効果変更について】
●「ギミック・パペット-ベビーフェイス」の効果
「相手の墓地のモンスターを蘇生」→「レベル5以上のモンスターとの戦闘では破壊されず、レベル5以上のモンスターとの戦闘によって発生するダメージは0になる」